臨済宗建長寺派金剛山 玉泉寺

玉泉寺について

玉泉寺は文保年間(1317-1318年)鎌倉時代末の創建で、開山は建長寺17世勅諡 国一禅師太古世源こくいちぜんじたいこせげん大和尚。開基は鎌倉9代将軍守邦親王です。当寺は多摩川の南岸にあり、本堂東南の弁天池小島に弁財天を祀ったのがお寺の始まりとされています。天正19年(1591年)幕府より寺領三石の朱印状が寄せられました。江戸時代には境内1900坪に釈迦堂・鐘楼・山門を配置し、末寺17寺を有しておりました。大正2年火災にかかり、本堂および諸堂は往事の姿を失いましたが、大正4年に再建。平成7年に檀信徒のご協力のもと、第26世 宗掬和尚・第27世 喜道和尚の代にて、現在の本堂が落慶されました。
玉泉寺の本堂は、伊豆天城山の国有林の木材を使用し、会津の宮大工による手彫りの欄間や、水墨画家白浪氏の襖絵松竹梅図も見応えがあります。

ご本尊様

玉泉寺の本尊様は十一面観音菩薩です。 あらゆる方向を見渡し、衆生済度、人々を救う仏様です。

十一面観音菩薩坐像(南北朝時代十四世紀造)
ヒノキ材寄木造/金泥塗り/玉眼/像高37.5cm

玉泉寺 第28世住職
北村弘喜

ごあいさつ

令和3年(2021年)9月29日、玉泉寺開山国一禅師太古世源こくいちぜんじたいこせげん大和尚の没後700年の大遠諱法要が営まれました。この大法要に併せて、鎌倉大本山建長寺より住職の任をお預かりいたしました。

玉泉寺は、文明年間永禄6年、そして大正2年の火災により古記録の大部分を焼失しておりますが、正応元年(1288年)銘の板碑や北条氏の鐘借用状、建暦2年(1212年)の奥書のある大般若経四百巻、元和3年(1617年)造立の銘がある大応国師像など、いずれも市の指定文化財となっており大変貴重な資料として残されております。

この様な歴史ある寺で、歴代の住職方は大変困難な時代ながらも玉泉寺の護持に尽力してこられました。歴代住職方の智慧をお借りしながら700年の由緒ある寺を引き続き護っていくと共に、お檀家さんや地域の皆様が心癒される寺となるよう努めていきたいと思います。


境内の泉と苔庭

弁財天の祠堂前には古くから湧水で出来た弁天池があります。今も清らかな水が湧きでており、玉泉寺の名前の由来と言い伝えられています。
境内には、作庭家・北山安夫氏に師事し庭造りを学んだ、庭匠風玄東京作庭による苔庭と石庭があり、2018年に作庭された本堂前の石庭は、鶴と亀を象ったものです。
四季折々の表情を見せる境内の木々や草花は、玉泉寺の風物として多くの人に親しまれております。

白浪画伯の作品

青梅市在住の水墨画家 白浪氏(中国上海市出身)の襖絵や季節の作品が常設されています。

白浪氏(1945-)は40歳で来日以降、日本を活躍の場としています。 花鳥山水の水墨画・墨彩画を得意とし、独自の幻想的で優美な画風を確立。鎌倉大本山建長寺本堂「龍王図」・八戸蕪嶋神社天井画「蕪嶋神龍」などが代表作です。
玉泉寺では約2年に一度、災害復興チャリティーイベントとして「白浪画伯作品展」を開催しています。

襖絵などは、本堂落慶式後にあわせて平成9年に制作されました。 常設の襖絵などの作品はいつでも見学できます。ご希望の方はお気軽にお申しつけください。

市有形文化財
青石塔婆

正応元年(1288年)造立で、阿弥陀三尊種子(梵字)が刻まれており、青石塔婆は梵字で表現する形態と色の美しさでも知られています。玉泉寺の青石塔婆は、青梅市内で多数発見されたもので一番古く、市の有形文化財に指定されています。

安産子育
菅原地蔵

徳川時代の末頃、この地に菅原伴蔵さんという修行者がおりました。 当時の疫病により多くの子供達が早逝することを悲しみ、 このお地蔵様を彫って一心に祈念したところ病勢頓に収まりました。 世人はこれを大いに喜び「菅原地蔵(子育て地蔵)」と呼ばれるようになりました。晩年自らの死期を悟ると山中に穴を掘って竹筒を立て、「この鈴の音絶ゆる時、吾が入定の時なり 爾今以降吾は子供等の慈父とならん 哺育の光達とならん」と云って土を被せ、最後の時が来るまで鈴を鳴らし続けました。 今も玉泉寺の参道で子供たちの健康と成長を見守っています。


臨済宗について

仏心宗、達磨宗とも呼ばれる、いわゆる禅宗は中国で起こり、発展し、やがて日本に伝来された仏教の一宗です。日本に伝わった禅宗には、臨済宗りんざいしゅう黄檗宗おうばくしゅう、そして曹洞宗そうとうしゅうがあります。
お釈迦さまの正しい教え(正法)をうけつがれた達磨大師(初祖)、臨済禅師(臨済宗りんざいしゅう祖)や、隠元禅師(黄檗宗おうばくしゅう祖)、さらに禅を日本に伝来された祖師方、そして日本臨済禅中興の祖・白隠禅師はくいんぜんじから今日にいたるまで、「一器の水を一器へ」移すがごとく伝法された一流の正法を教えとし、我々に本来そなわる尊厳で純粋な人間性(仏性ぶっしょう)を、坐禅・公案・読経・作務などの修行を通して、自覚(見性)することを旨とする宗派です。

(引用:臨黄ネット公式サイト)